ドクターは、年代、ビジョン、事情に応じて転職を検討することがあります。医療コンサルタントにはわかりにくい内部事情に精通しているこの道30年のベテラン医師が、医師転職を網羅的に解説します。転職を検討中のドクター、効率的なアルバイトをお探しのドクターは必見!

フリーランス医師という選択

2018/03/16

フリーランス医師と言えば、医師紹介所「神原名医紹介所」に所属しながら、様々な病院を渡り歩いているフリーランスの外科医、ドクターXの『私、失敗しないので!』、『報酬が桁違いに高い』、大門 未知子(だいもん・みちこ)(41)が連想されます。これはフィクションであるために、許容できるわけですが、明らかに5つの誤りがあります。

1つ目は、外科医がフリーランスで生きていける確率は0.01%未満です。0%ではないのは、実際にフリーランスでも生きていけるドクターがいます。例えば、通称神の手、鍵穴手術で有名な脳神経外科医の福島孝徳先生です。

福島先生は、世界中を回り、各地で手術のスーパーバイザーをされていらっしゃいます。高額の報酬が担保されていることに説明の余地はありません。私も二人の秘書の方と同行時にお会いししたことがありますが、背筋がしっかりされ、凛とされていらっしゃいました。領域が違うので何とも言えませんが、唯一無二の“技と知識・経験”を持ち合わせていらっしゃるのでしょう。

高名な外科医で、時々招聘されるドクターは格好たくさんいらっしゃいます。しかしながら、フリーランスで生きていくことは、収入面から、また肩書保持や名誉から、実際は不可能です。

2つ目は、医師紹介会社「神原名医紹介所」といった人材派遣会社が、医療機関に医師を派遣することは法律で禁止されています。したがって、この設定は100%誤りとなります。

3つ目は、「41歳の女性外科医が腕前は超一流」、この設定、現実的には99%ありません。運のいい外科医(手術症例の多い病院ばかり、高名な指導者の下)で、努力家で、周術期管理を徹底的にこなし、長時間の手術に耐え、休日夜間の呼び出しにも不満ひとつこぼさず対応し、手術記録を完ぺきにこなし、術後の標本整理を怠らず、外科専門医(5年必要)、消化器外科専門医(さらに3年必要)、肝胆膵外科高度技能専門医(修練施設で最低3年必要)、内視鏡技術認定医(30%の合格率)の資格を少なくとも持っておく必要があります。

これを、卒後17年で完遂できる確率は、1%以下と見込んでいます。

外科(ここでは消化器外科医として)はオールラウンドで通常1人前(手術をオーガナイズできるレベル)になるには、最低20年かかります。

4つ目は「私、失敗しないので!」です。失敗=術後合併症を経験することで、外科医は成長し、凄腕外科医となります。失敗のない外科医はゼロです。おまけに、手術後の管理をしっかりしてこそ、一流の外科医と言えます。

5つ目は、「桁違いの報酬です。」通常、一執刀当たり、高額な案件であれば、診療報酬点数表の3割までは頂いたことはあります。例えば、PDで血行切除再建となると128,230点=1,282,300円、その3割は384,690円となります。ただし、これでも人件費、医療材料費など引けば病院側は赤字となるでしょう。桁外れでは、3,846,900円/回となります。絶対あり得ない話です。

以上5つの誤りを書いてみましたが、フィクションドラマなので面白ければそれでよいです。

一方、ドクターXのフリーランス麻酔科医、城之内 博美(じょうのうち・ひろみ)(38)のような麻酔科医は現実にしっかりいます。一時、フリーランス麻酔科医はブームとなりました。麻酔科医は、麻酔科専門医を取得し、さらに心臓血管外科(人工心肺併用)の麻酔にも精通していれば、プロとして通常どこでも通用します。現在は、医局所属、病院常勤、フリーランス派とほぼ均等に分かれるのではないでしょうか。

時に麻酔科のフリーランスはコミュニティあるいは集団を形成し活動することがあります。これにはメリット・デメリットがあります。メリットは、多くの外科手術実施の医療機関と提携できること。デメリットは、自由に就業のプログラムが構築できない、或いはマージンを幾らか取られることなど。

産婦人科も特に、休日、夜間の非常勤、スポット求人では概ね案件は高額となります。働くときはしっかり働き、休む時はしっかり休む、そういうスタイルでも産婦人科、特に産科はありのような気がします。

フリーランスの強みは、勤務体系を自ら構築できること、収入は概ねアップ、或いはコントロールが可能、既婚女性医師の子育て、QOML(Quality of my life)の向上、固定された人間関係の軋轢からの解放、などでしょうか。

一方、デメリットも当然あります。煩雑な保険や税務申告、安定収入の確保に難渋、地位や肩書・所属意識の欠如、キャリアアップに支障、などでしょうか。

功罪を見極めたうえで、またフリーランスに向き不向きの診療科を見極めたうえで、現在の状況や将来展望を見極めたうえで、フリーランスを選択する。これはありなのかもしれません。

まとめ

転職サイトの選択と有効活用をご紹介します。転職サイトを活用するに当たり、5つのポイントがあります。

  • 複数(できれば3社以上)の転職サイトへの登録をおすすめします
  • ご紹介する転職サイトは匿名・非公開求人も多く、キャリアップ、収入アップ、ドクターの要望に適格に応えるでしょうし、信頼できると思います
  • 医師の需給バランスは、まだまだ売り手市場(有効求人倍率約7倍)であることを肝に銘じてください
  • 転職に当たり、譲歩・妥協はおすすめしません
  • 最終的に複数の転職サイトからの案件を比較・検討し、転職を成功させてください

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