ドクターは、年代、ビジョン、事情に応じて転職を検討することがあります。医療コンサルタントにはわかりにくい内部事情に精通しているこの道30年のベテラン医師が、医師転職を網羅的に解説します。転職を検討中のドクター、効率的なアルバイトをお探しのドクターは必見!

転職は逃げなのか?逃げることは悪なのか?

2018/03/17

転職を逃げと言われると、言われる奴に腹が立つ。

転職にはネガティブなイメージが付いてきます。

日本では「人は我慢・忍耐が美徳である」、「石の上にも三年」、「滅法奉仕」などを常套句とし、通常転職の阻止にとりかかります。

転職経験ドクターにも、上司や同僚から「転職しても何も変わんないよ、やるだけ無駄だよ、自分が変わらなければ一緒だよ」などと、逃げるな的なニュアンスのことを言われた方もいらっしゃることと思います。

私は、トンズラ(逃げ)は必要に応じてありだと考えています。もちろん、犯罪を犯しての逃走ではありません。マザーテレサやマハトマガンジーでもない限り、人は誰でも自分が大事、家族が大事です。逃げが必要な時は、逃げるのです。

そんな私から、迷える転職希望ドクターに伝えたい事は、

「そもそも逃げじゃない転職なんてこの世になし!」

ということと、

さらに、

「逃げて何が悪いんだよ。開き直ればよし!」

ということです。

 

転職は「逃げ」であることをまず肯定する。

転職は結局「何かからの逃げ」だということはまず肯定することです。「逃げ」というネガティブなイメージに捕われ、なにがしらのもっともな理由をつけて払拭しようとするから苦しくなるわけです。まずは肯定してしまいましょう。

ほぼ全ての転職は何かからの逃げの要素が含まれていると思います。

・人間関係からの逃げ
・低い給与からの逃げ
・日々のストレスからの逃げ
・激務からの逃げ
・居住環境からの逃げ

逃げじゃない転職の事例って思い浮かびますか?

キャリアアップをしたい?
今のキャリアや給与からの逃げでしょう。

家族のことを考えたポジティブな転職?
転勤からの逃げだったり、家族と時間を過ごせないことからの逃げでしょう。

何かしら逃げたり捨てたり脱却したりするわけですよ。
まずは逃げてる自分をしっかりと見つめて肯定しましょう。

 

世の中のほとんどの事象は表裏一体。

ところで、逃げるって悪いこと、ダメなことなんでしょうか?
これ、言い換えればリスクを回避しているわけで、ネガティブなこととポジティブなことは常に表裏一体です。

人の評価も表裏一体ですよね。私は人から良く「要領が良い」といわれます。ポジティブに考えれば「機転が利いて、物事の優先事項をきちんと決め、やることはしっかりやっている」とも受け取れますし、ネガティブに考えれば「仕事を率先してしているわけでもなく、良い所どりで、本当は怠け者」とも受け取れます。

世の事象はほとんど表裏一体です。見方、考え方、捉え方で180度違った表現や印象となります。

最後は結果次第ですよね。結果がよければ、「機転が利き、しっかりやっている」と褒められますし、結果が悪ければ、「うわべだけの怠け者」と非難されます。

「逃げ」も同じで、後の結果さえ良ければ「ナイス逃げ!」なんですよ。結局。
人生は無慈悲な結果論なんです。

 

逃げで人間は生き残ってきた。

強いだけで、逃げを知らない種族は滅びます。我々の遠い祖先は狩猟民族でした。
集団で獲物を狩って、それを食べて生活していたわけですね。

そんな生活の中、獲物となる動物と相対するとき、相手が自分より強いとき「逃げ」がなかったらヤバイですよ。
命がいくつあっても足りません。
「ヤバイ!」と思ったら逃げて逃げきれるヤツが生き残れたわけです。

勇気がある、言い換えれば無謀で鈍感な人は動物にやられて死んでいますよ。
我々は無事逃げ切った人の子孫なわけです。

逃げるというのは、人生における様々なリスクを回避するために必要な行動なんですよね。

というわけで、逃げるという行動には何の問題もありません。
逃げろ逃げろ。どんどん逃げろ。開き直れ。

 

誰もが日々逃げている。

というわけで、逃げじゃない転職なんてないんだから肯定しちゃえばいいし、そもそも逃げることはリスクを回避することだから悪いことではないんですよね。
あとは、その後にどうするか次第。

人は知らず知らず安定を好む生き物です。変化を嫌います。
なので、世間は変化する人を攻撃しがちなんですよね。ことなかれ主義とも言えますよね。
自分の中の「安定という常識」を攻撃されて、ムズムズするわけで。

でも、例えば「転職しない」というのは、言い換えれば「転職からの逃げ」なんですよ。
本当は転職したいけど、面倒くさいし次の病院のほうが更に待遇が悪くなる気がして動かない人は多いでしょう。
これも完全な逃げ、現実逃避ですよね。

なので、見方、考え方を変えれば誰もが逃げているわけですよ。

 

困難がない環境はない

ただ、逃げたとして、転職先には新たな別の困難・苦難が待っています。

転職活動も時にストレスフルで面倒くさいし、新たに入った就職先にも必ず問題はありますよね。
全く問題のない職場はこの世にありません。

人は逃げながら困難と戦い、戦いつつ、時に逃げるという日常生活から逃れることは不可能です。
逃げているのに逃げられないという矛盾。

厳密に言えば、「ここまでは逃げられる」という範囲と「もう逃げられない」があるという感じでしょうか。
逃げ続けるとどこにも逃げられなくなるというジレンマ、パラドックスのようなモノがあるわけですね。

なので、戦いつつ逃げることが重要。
ヒットアンドアウェイ。
一つ逃げたら、次は一つ戦わないと。

 

逃げが悪いのではなく、さらけ出すのがダメ。

逃げは悪ではなく、それを人前でさらけ出すのが悪です。本音をさらけ出すのが不必要悪です。

転職時での面接で、逃げの転職動機は一切語らないでください。

逃げの動機を説明しても、採用側に同情は全くありません。100%ネガティブな印象のみです。

人の本質は変わらないと、ほぼすべての人が思っています。「このドクターは、こういう人だから、また同じような理由で辞めるだろう」と大体思われてしまうのがオチです。

逃げ転職が悪いんじゃなくて、自分の思っていることをべらべらしゃべってしまうことが悪いんです。
社会人である以上、人に甘えずにしっかりと演出しましょう。

ポジティブな自分を見せつけましょう。
他人に何でも話してしまうというのは、依存であり甘えです。

 

逃げを容易く非難するのはやめましょう。

逃げは、人生を生き抜いていくうえで正答な手段です。

子供のいじめ問題でも、逃げは一つの解決策です。

さっさと転校するのが、唯一無事の解決策ですよね。

 

ドクターも、諸般の事情であれ、トンネルの出口が見えなくなったときは、

逃げを勧めます。第3者が逃げの当事者を、本当に理解することはできません。

 

安易に自分の立場から、他人の逃げを抑制することは、止めましょう。

逃げを抑制する人は、たまたまそうなっただけです。

人には七転び八起きがあります。

良いときばかりではありません。

 

真から疲弊すると逃げることもできない。

仕事が多忙で、人間関係の悪化が極限となり鬱になり、自殺する人がいます。
こういう場合、「その前に逃げろよ」みたいなことを言う人がいますが、なかなそう簡単にはいかないですよね。
やっぱり逃げにくい雰囲気があったり、多勢に無勢で引き止めたり。

極論でいえば、本気で疲弊して思考停止すると逃げることすらできなくなるわけです。
人間ってそう簡単に理屈通りに動けませんよ。

精神が消耗すると、客観的かつ合理的な判断なんてとてもできないですからね。

些細なことに執着して、誇大妄想にも陥ります。

「逃げ転職」にネガティブなイメージがあると、こういう不幸も多数引き起こします。
別にポジティブにする必要はないんだけど、もっと転職が当たり前のことになってしまえばいいと思いますね。
意識としても、社会の仕組みとしても。

まあ、日本もやがてそうなるでしょう。

日本独自の風習はすたり、個人のオリジナリティとドライな転職意識が、アメリカ並みに早晩なると思いますよ。

医師転職は逃げでも悪でもありません。真っ当な生き抜く手段です。ただし、面接時には転職の本当の理由をおくびにも出してはいけません。どこに行っても相応に苦難・困難があります。そこで、どれだけパーフォーマンスを発揮できるか。転職の成否はそこで決まります。

まとめ

転職サイトの選択と有効活用をご紹介します。転職サイトを活用するに当たり、5つのポイントがあります。

  • 複数(できれば3社以上)の転職サイトへの登録をおすすめします
  • ご紹介する転職サイトは匿名・非公開求人も多く、キャリアップ、収入アップ、ドクターの要望に適格に応えるでしょうし、信頼できると思います
  • 医師の需給バランスは、まだまだ売り手市場(有効求人倍率約7倍)であることを肝に銘じてください
  • 転職に当たり、譲歩・妥協はおすすめしません
  • 最終的に複数の転職サイトからの案件を比較・検討し、転職を成功させてください

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